アーティスト:YOASOBI
作詞・作曲:Ayase
このシリーズでは名曲の中で音楽理論がどのように使われているかを学ぶことができます。
今回は、YOASOBIの名曲「怪物」のコード分析を行います。
「怪物」では、以下の音楽理論の使い方を学ぶことができます。
- 転調
- セカンダリードミナントコード
- ディミニッシュコード
- オンコード
- モーダルインターチェンジコード
それでは分析していきましょう。
ここではダイアトニックコードを理解していることが前提です。ダイアトニックコードを知らない方は以下で勉強しましょう。
ダイアトニックコードとは?コード進行の作り方
コード進行
【Aメロ】
1回目
|A♭m|A♭m|A♭m|A♭m
(素晴らしき~)
|E|E♭|A♭m|A♭m
(見て見ぬ~)
繰り返し
2回目
|A♭m|A♭m|B|B
(素晴らしき~)
|E|E|D♭m|E♭
(知らない~)
繰り返し
3回目
|A♭m|A♭m|A♭m|A♭m
(清く正しく~)
|E|E|E♭|E♭
(はみ出さず~)
【Bメロ】
|E E♭|A♭m
(この世界で~)
|E E♭|A♭m B
(僕には何が~)
|E G♭|Gdim A♭m B
(ただその真っ黒な~)
|E E♭
(涙溢れ~)
【サビ】
1回目
|A|B|G#m|C#m
(願う未来に~)
|A|G# G#onC|C#m|Bm E
(世界の中~)
|A|B|G# G#onC|C#m
(もう誰も~)
|A|B
(僕が僕で~)
2回目
|G♭|A♭|Fm|A♭m
(答えのない~)
|G♭|F FonA|B♭m|A♭m D♭
(いつまでも~)
|G♭|A♭|Adim|B♭m
(跳ねる心臓が~)
|G♭|A♭
(答えのない~)
|B♭|C|Am|Dm
(弱い自分を~)
|B♭|A AonD♭|Dm|Cm F
(世界の中~)
|B♭|C|A AonD♭|Dm
(もう誰も~)
|B♭|C
(僕が僕で~)
|B♭|C|Am|Dm
|B♭|A AonD♭|Dm|Cm F
|Bm7-5|GmonB♭|A AonD♭|Dm
(ただ君を守る~)
|B♭|C
(僕の中の~)
【間奏】
1回目
|A|B|G#m|C#m
|A|G#
2回目
|A♭m B|E E♭ ×4
3回目
|A♭m B|E E♭ ×3
(教えてくれよ~)
|A♭m B
【アウトロ】
|Dm F|Gm A ×4
|Dm
コード進行分析
Aメロ
キーはA♭マイナーですが、便宜的にBメジャー(A♭マイナーの平行調)と考えます。
1回目
|A♭m|A♭m|A♭m|A♭m
→|Ⅵm|Ⅵm|Ⅵm|Ⅵm
(素晴らしき~)
|E|E♭|A♭m|A♭m
→|Ⅳ|Ⅲ|Ⅵm|Ⅵm
(見て見ぬ~)
繰り返し
2回目
|A♭m|A♭m|B|B
→|Ⅵm|Ⅵm|Ⅰ|Ⅰ
(素晴らしき~)
|E|E|D♭m|E♭
→|Ⅳ|Ⅳ|Ⅱm|Ⅲ
(知らない~)
繰り返し
1回目の間奏から2回目のAメロに行くときに、EメジャーからA♭マイナーに直接転調をしています。
属調の平行調への転調なので、転調しやすいです。
転調については以下をご覧ください。
「転調の方法」と「転調パターン一覧」
3回目
|A♭m|A♭m|A♭m|A♭m
→|Ⅵm|Ⅵm|Ⅵm|Ⅵm
(清く正しく~)
|E|E|E♭|E♭
→|Ⅳ|Ⅳ|Ⅲ|Ⅲ
(はみ出さず~)
繰り返し
コード | 説明 |
---|---|
Ⅲ | Ⅵmに対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ |
Bメロ
キーはA♭マイナーですが、便宜的にBメジャー(A♭マイナーの平行調)と考えます。
|E E♭|A♭m
→|Ⅳ Ⅲ|Ⅵm
(この世界で~)
|E E♭|A♭m B
→|Ⅳ Ⅲ|Ⅵm Ⅰ
(僕には何が~)
|E G♭|Gdim A♭m B
→|Ⅳ Ⅴ|♭Ⅵdim Ⅵm Ⅰ
(ただその真っ黒な~)
|E E♭
→|Ⅳ Ⅲ
(涙溢れ~)
コード | 説明 |
---|---|
Ⅲ | Ⅵmに対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ |
♭Ⅵdim | Ⅲ7の代理コードとしてのディミニッシュコードです。 ディミニッシュコードについてはコチラ↓
Ⅲ7はⅥmに対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ |
サビ
1回目
キーはEメジャーです。
|A|B|G#m|C#m
→|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm|Ⅵm
(願う未来に~)
|A|G# G#onC|C#m|Bm E
→|Ⅳ|Ⅲ Ⅲon♭Ⅵ|Ⅵm|Ⅴm Ⅰ
(世界の中~)
|A|B|G# G#onC|C#m
→|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲ Ⅲon♭Ⅵ|Ⅵm
(もう誰も~)
|A|B
→|Ⅳ|Ⅴ
(僕が僕で~)
Bメロから1回目のサビに行くときに、A♭マイナーからEメジャーに直接転調をしています。
平行調の下属調への転調なので、転調しやすいです。
転調については以下をご覧ください。
「転調の方法」と「転調パターン一覧」
2回目
キーはD♭メジャーです。
|G♭|A♭|Fm|A♭m
→|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm|Ⅵm
(答えのない~)
|G♭|F FonA|B♭m|A♭m D♭
→|Ⅳ|Ⅲ Ⅲon♭Ⅵ|Ⅵm|Ⅴm Ⅰ
(いつまでも~)
|G♭|A♭|Adim|B♭m
→|Ⅳ|Ⅴ|♭Ⅵdim|Ⅵm
(跳ねる心臓が~)
|G♭|A♭
→|Ⅳ|Ⅴ
(答えのない~)
キーはFメジャーです。
|B♭|C|Am|Dm
→|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm|Ⅵm
(弱い自分を~)
|B♭|A AonD♭|Dm|Cm F
→|Ⅳ|Ⅲ Ⅲon♭Ⅵ|Ⅵm|Ⅴm Ⅰ
(世界の中~)
|B♭|C|A AonD♭|Dm
→|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲ Ⅲon♭Ⅵ|Ⅵm
(もう誰も~)
|B♭|C
→|Ⅳ|Ⅴ
(僕が僕で~)
|B♭|C|Am|Dm
→|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm|Ⅵm
|B♭|A AonD♭|Dm|Cm F
→|Ⅳ|Ⅲ Ⅲon♭Ⅵ|Ⅵm|Ⅴm Ⅰ
|Bm7-5|GmonB♭|A AonD♭|Dm
→|#Ⅳm7-5|ⅡmonⅣ|Ⅲ Ⅲon♭Ⅵ|Ⅵm
(ただ君を守る~)
|B♭|C
→|Ⅳ|Ⅴ
(僕の中の~)
3回目の間奏から2回目のサビに行くときに、A♭マイナーからD♭メジャーに直接転調をしています。
A♭マイナーとD♭メジャーは五度圏において2つ隣なので比較的転調しやすいです。
2回目のサビの途中でD♭メジャーからFメジャー(短三度上)に直接転調をしています。
短三度上の調へは転調しやすいです。
転調については以下をご覧ください。
「転調の方法」と「転調パターン一覧」
コード | 説明 |
---|---|
Ⅲ | Ⅵmに対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ |
Ⅲon♭Ⅵ | Ⅲの3度の音を最低音にしたオンコードです。 度の意味についてはコチラ↓ オンコードについてはコチラ↓
ⅢはⅥmに対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ |
Ⅴm | ミクソリディアンモードからのモーダルインターチェンジコード(借用和音)です。 モーダルインターチェンジコードについてはコチラ↓ |
♭Ⅵdim | Ⅲ7の代理コードとしてのディミニッシュコードです。 ディミニッシュコードについてはコチラ↓
Ⅲ7はⅥmに対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ |
#Ⅳm7-5 | リディアンモードからのモーダルインターチェンジコード(借用和音)です。 モーダルインターチェンジコードについてはコチラ↓ |
ⅡmonⅣ | Ⅱmの3度の音を最低音にしたオンコードです。 度の意味についてはコチラ↓ オンコードについてはコチラ↓ |
間奏
1回目
キーはEメジャーです。
|A|B|G#m|C#m
→|Ⅳ|Ⅴ|Ⅲm|Ⅵm
|A|G#
→|Ⅳ|Ⅲ
2回目
キーはA♭マイナーですが、便宜的にBメジャー(A♭マイナーの平行調)と考えます。
|A♭m B|E E♭ ×4
→|Ⅵm Ⅰ|Ⅳ Ⅲ
3回目
キーはA♭マイナーですが、便宜的にBメジャー(A♭マイナーの平行調)と考えます。
|A♭m B|E E♭ ×3
→|Ⅵm Ⅰ|Ⅳ Ⅲ
(教えてくれよ~)
|A♭m B
→|Ⅵm Ⅰ
コード | 説明 |
---|---|
Ⅲ | Ⅵmに対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ |
アウトロ
キーはDマイナーですが、便宜的にFメジャー(Dマイナーの平行調)と考えます。
|Dm F|Gm A ×4
→|Ⅵm Ⅰ|Ⅱm Ⅲ
|Dm
→|Ⅵm
アウトロの最初にFメジャーからDマイナー(平行調)に直接転調をしています。
平行調へは転調しやすいです。
コード | 説明 |
---|---|
Ⅲ | Ⅵmに対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ |
以上、ご覧いただきありがとうございました。
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