転調って何?
転調のやり方は?
この記事では「転調とは?」「転調しやすい調」「転調のパターン」「転調を使った名曲」を紹介しています。
この記事を読むことであなたは以下を理解し、自由自在に転調できるようになります!
- 「転調」「部分転調」「移調」「モーダルインターチェンジ」の違い
- 転調しやすい調 × 転調の3つのパターン = 転調の自然さ
それでは始めましょう!
転調とは
転調(modulation)とは、曲の途中でキーを変えることです。
例えば「Cメジャーキー」から「Fメジャーキー」に変えるのは転調です。
「キー」について、詳しくは以下をご覧ください。
音楽理論を理解する!スケールとキーの関係について詳しく解説
また、一時的に行う転調を部分転調といいます。
転調と似た言葉に「移調」と「モーダルインターチェンジ」があります。
- 移調(transposition)
完成している曲のキーを変えることです。
例えば、カラオケでキーを変えるのは移調です。 - モーダルインターチェンジ(modal interchange)
「転調」と「モーダルインターチェンジ」の違いについては以下をご覧ください。
「転調」と「モーダル・インターチェンジ」の違い
転調しやすい調
ここでは転調しやすい調を紹介します。
このあと詳しく紹介しますが、以下の代表的な転調しやすい調をまとめて近親調といいます。
- 平行調
- 属調
- 下属調
- 同主調
転調しやすい調①:構成音が似ている調(平行調・属調・下属調など)
構成音が似ている調へは転調しやすいです。
構成音が似ている調は、以下の五度圏(Circle of Fifth)を使って見つけることができます。
五度圏の外側は長調(メジャーキー)、内側は短調(マイナーキー)を表しています。
これらの調は時計回りに完全5度上へ、反時計回りに完全5度下(=完全4度上)へと並んでいます。
例えば、Cから見てGは完全5度上で、Gから見てCは完全5度下です。
「完全5度」や「完全4度」の意味については以下をご覧ください。
音楽初心者必見!音程・音高・度数の違いをわかりやすく解説
また五度圏で隣り合う2つの調では構成する音が1つ違います。
例えば、五度圏で隣り合う「Cメジャーキー」と「Gメジャーキー」を比べてみると音が1つ違うことが分かります(FとF#)。
キー(調) | キー(調)の構成音 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Cメジャーキー | C | D | E | F | G | A | B |
Gメジャーキー | G | A | B | C | D | E | F# |
五度圏では隣の調に移るごとに音の違いが1つずつ増えていきます。
つまり、五度圏で距離が近い調ほど構成音が似ているので転調しやすいです。
以下は代表的な転調しやすい調です。
平行調
平行調とは、構成音が同じ「メジャーキー」と「マイナーキー」のペアことです。
五度圏では外側と内側の調のペアが平行調になっています。
例えば「Cメジャーキー」の平行調は「Aマイナーキー」で、逆に「Aマイナーキー」の平行調は「Cメジャーキー」です。
平行調は調を構成する音が同じなので、転調しやすいです(平行調転調)。
属調
属調とは、ある調の完全5度上の調のことです。
五度圏では時計回りに1つ隣(完全5度上)の調が属調です。
例えば「Cメジャーキー」の属調は「Gメジャーキー」です。
属調は構成音の違いが1つしかないので、転調しやすいです(属調転調)。
下属調
下属調とは、ある調の完全4度上(=完全5度下)の調のことです。
五度圏では反時計回りに1つ隣(完全4度上)の調が下属調です。
例えば「Cメジャーキー」の下属調は「Fメジャーキー」です。
下属調は構成音の違いが1つしかないので、転調しやすいです(下属調転調)。
転調しやすい調②:ルートが同じ調(同主調)
同主調とは、ルートが同じ2つの調のことです。
例えば「Cメジャーキー」の同主調は「Cマイナーキー」で、逆に「Cマイナーキー」の同主調は「Cメジャーキー」です。
ここでルートは調の中で最も安定する音です。
同主調は安定する音が同じなので、転調しやすいです(同主調転調)。
また、ある調の同主調の平行調(短3度上)、ある調の平行調の同主調(短3度下)へも転調しやすいです(短3度転調)。
例えば「Cメジャーキー」の同主調である「Cマイナーキー」の平行調は「E♭メジャーキー」です。「Cメジャーキー」から「E♭メジャーキー」への転調は短3度(上)転調です。
転調しやすい調③:半音上または半音下の調
半音異なる調(半音上または半音下の調)は五度圏でみると遠いので(5つ隣の調)、本来は転調しずらいです。
しかし、移調(曲全体の音をシフトさせる)のような形であれば、半音異なる調へ転調しやすいです(半音上転調または半音上転調)。
なぜなら、音が半音シフトしただけでメロディなどは変わっていないからです。
半音上転調では音が高音側にシフトし高揚感があがるため、サビの後半でよく使われます。
転調のパターン一覧
転調には大きく3つのパターンがあります。
- 直接転調
- ピボットコードをつかった転調
- ドミナントコードを使った転調
転調の自然さは「転調先の調への転調のしやすさ」と「転調パターン」の組み合わせで決まります。
あえて不自然な転調をすることで意外性を演出することもできます。
それぞれについて具体例を見ていきましょう!
転調パターン①:直接転調
直接転調とは、その名の通り直接別の調に移る転調です。
以下はLarry Carltonの「Room335」のコード進行の一部です。
直接転調が使われています。
【Aメジャーキー】
|DM7 C#m7(♭13)|Bm7 C#m7
→|ⅣM7 Ⅲm7(♭13)|Ⅱm7 Ⅲm7
|DM7 C#m7(♭13)|Bm7 AM7
→|ⅣM7 Ⅲm7(♭13)|Ⅱm7 ⅠM7
|DM7 C#m7(♭13)|Bm7 C#m7
→|ⅣM7 Ⅲm7(♭13)|Ⅱm7 Ⅲm7
|DM7 C#m7(♭13)|Bm7 AM7
→|ⅣM7 Ⅲm7(♭13)|Ⅱm7 ⅠM7
【Cメジャーキー】
|FM7 Em7(♭13)|Dm7 Em7
→|ⅣM7 Ⅲm7(♭13)|Ⅱm7 Ⅲm7
|FM7 Em7(♭13)|Dm7 DM7onE
→|ⅣM7 Ⅲm7(♭13)|Ⅱm7 ⅡonⅢ
「Aメジャーキー」から「Cメジャーキー(短3度下)」へ転調しています。
前述のとおり、短3度下の調へは転調しやすいです。
転調パターン②:ピボットコードをつかった転調
ピボットコードとは、2つの調で共通するコードのことです。
ピボットコードを使うことで滑らかに転調できます。
以下は、小沢健二の「流動体について」の一節です。
ピボットコードを使った転調が行われています。
【Cメジャーキー】
|FM7|Em7
→|ⅣM7|Ⅲm7
【B♭メジャーキー】
|E♭M7|Dm7
→|ⅣM7|Ⅲm7
【A♭メジャーキー】
|D♭M7|Cm7
→|ⅣM7|Ⅲm7
【B♭メジャーキー】
|F7|F7
→|Ⅴ7|Ⅴ7
コード進行と各調の関係を表にすると以下です。
キー(調) | FM7 | Em7 | E♭M7 | Dm7 | D♭M7 | Cm7 | F7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Cメジャーキー | ⅣM7 | Ⅲm7 | ♭ⅢM7 | Ⅱm7 | |||
B♭メジャーキー | ⅣM7 | Ⅲm7 | ♭ⅢM7 | Ⅱm7 | Ⅴ7 | ||
A♭メジャーキー | ⅣM7 | Ⅲm7 |
青色のコードがピボットコードであることが分かります。
ちなみに♭Ⅲm7は、モーダルインターチェンジコード(借用和音)です。
モーダルインターチェンジコードについては以下をご覧ください。
モーダルインターチェンジコード(借用和音)一覧
※この転調の解釈は様々あります。
転調パターン③:ドミナントコードを使った転調
セブンスコードを転調先の調のドミナントコード(Ⅴ7)とみなすことで転調することができます。
以下は、マクロスの「私の彼はパイロット」の一節です。
ドミナントコードを使った転調が行われています。
【B♭メジャーキー】
|B♭M7 Cm7|Dm7 Gm7
→|ⅠM7 Ⅱm7|Ⅲm7 Ⅵm7
|Cm7 B♭onD|E♭M7 Cm7onF|B♭7sus4|B7♭
→|Ⅱm7 ⅠonⅢ|ⅣM7 ⅣM7onⅤ|Ⅰ7sus4|Ⅰ7
【E♭メジャーキー】
|E♭M7|Dm7-5 G7|Cm7|
→|ⅠM7|Ⅶm7-5 Ⅲ7|Ⅵm7
|Gm C7|Gm C7|F7sus4|F7
→|Ⅲm7 Ⅵ7|Ⅲm7 Ⅵ7|F7sus4|F7
B♭メジャーキーの下属調であるE♭メジャーキーへの転調です。
B♭メジャーキーのときの最後のコードであるB7♭(Ⅰ7)を、E♭メジャーキーにおけるドミナントコード(Ⅴ7)と見立てて転調しています。
ちなみにⅠ7は、モーダルインターチェンジコード(借用和音)です。
転調を使った名曲
コチラで「転調」を使った名曲の分析などを紹介しています。
良かったらご覧ください。
以上、ご覧いただきありがとうございました。
コメント
五度圏では反時計回りに1つ隣(完全4度下)の調が下属調です。⇒完全4度上or(完全5度下)の間違いではないでしょうか。
おっしゃるとおりです。ご指摘ありがとうございました。
記事は修正いたしました。
今後ともよろしくお願いいたします。