このシリーズでは名曲の中で音楽理論がどのように使われているかを学ぶことができます。
今回は、Gilbert O’Sullivanの名曲「Alone Again (Naturally)」のコード分析を行います。
「Alone Again (Naturally)」では、以下の音楽理論の使い方を学ぶことができます。
- テンションコード
- モーダルインターチェンジコード
- セカンダリードミナントコード
- オーギュメントコード
- シックスコード
- 偽終止
- クリシェ
- 転調
それでは分析していきましょう。
ここではダイアトニックコードを理解していることが前提です。ダイアトニックコードを知らない方は以下で勉強しましょう。
ダイアトニックコードとは?コード進行の作り方
コード進行
【イントロ】
|G♭M7|B♭m7
|A♭m7 D♭7(♭9)|G♭M7
【Aメロ】
|G♭M7|B♭m7
(In a little while~)
|D♭m7|B♭m7-5 E♭7
(I promise myself~)
|A♭m7|A♭m7-5
(And climbing~)
|G♭ G♭aug|G♭6 F7
(In an effort to~)
|B♭m7|B♭m7-5 E♭7
(Left standing~)
|A♭m7|A♭m7-5
(My God~)
|G♭M7|B♭m7 E♭7
(We may as well~)
1, 2回目
|A♭m7 D♭7(♭9)|G♭M7
(Alone again~)
3回目
|A♭m7 D♭7(♭9)|B♭m7 E♭7
(Alone again~)
|A♭m7 D♭7(♭9)|G♭M7
(Alone again~)
【Bメロ】
|A|E7
(It seems to be~)
|A♭m7 D♭7|A E♭m7-5
(That can’t be mended~)
|D♭M7|A♭m7 D♭7
(What do we do~)
【間奏】
コード進行はAメロの1, 2回目と同じ。
コード進行分析
イントロ
キーはG♭メジャーです。
|G♭M7|B♭m7
→|ⅠM7|Ⅲm7
|A♭m7 D♭7(♭9)|G♭M7
→|Ⅱm7 Ⅴ7(♭9)|ⅠM7
コード | 説明 |
---|---|
Ⅴ7(♭9) | テンションコードです。 テンションコードについてはコチラ↓ |
Aメロ
キーはG♭メジャーです。
|G♭M7|B♭m7
→|ⅠM7|Ⅲm7
(In a little while~)
|D♭m7|B♭m7-5 E♭7
→|Ⅴm7|Ⅲm7-5 Ⅵ7
(I promise myself~)
|A♭m7|A♭m7-5
→|Ⅱm7|Ⅱm7-5
(And climbing~)
|G♭ G♭aug|G♭6 F7
→|Ⅰ Ⅰaug|Ⅰ6 Ⅶ7
(In an effort to~)
|B♭m7|B♭m7-5 E♭7
→|Ⅲm7|Ⅲm7-5 Ⅵ7
(Left standing~)
|A♭m7|A♭m7-5
→|Ⅱm7|Ⅱm7-5
(My God~)
|G♭M7|B♭m7 E♭7
→|ⅠM7|Ⅲm7 Ⅵ7
(We may as well~)
1, 2回目
|A♭m7 D♭7(♭9)|G♭M7
→|Ⅱm7 Ⅴ7(♭9)|ⅠM7
(Alone again~)
3回目
|A♭m7 D♭7(♭9)|B♭m7 E♭7
→|Ⅱm7 Ⅴ7(♭9)|Ⅲm7 Ⅵ7
(Alone again~)
|A♭m7 D♭7(♭9)|G♭M7
→|Ⅱm7 Ⅴ7(♭9)|ⅠM7
(Alone again~)
コード | 説明 |
---|---|
Ⅴm7 | ミクソリディアンモードからのモーダルインターチェンジコード(借用和音)です。 モーダルインターチェンジコードについてはコチラ↓ |
Ⅲm7-5 | ミクソリディアンモードからのモーダルインターチェンジコード(借用和音)です。 モーダルインターチェンジコードについてはコチラ↓ |
Ⅵ7 | Ⅱm7に対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ |
Ⅱm7-5 | エオリアンモードからのモーダルインターチェンジコード(借用和音)です。 モーダルインターチェンジコードについてはコチラ↓ モーダルインターチェンジコード(M.I.C)一覧 |
Ⅰaug | オーギュメントコードです。 オーギュメントコードについてはコチラ↓
テンションコードについてはコチラ↓
セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ ⅣM7に進行しない場合は偽終止しています。 偽終止とはドミナントからトニックに行かないコード進行のことです。 Ⅰの5度の上昇クリシェとなっています。 クリシェについてはコチラ↓ |
Ⅰ6 | シックスコードです。 オーギュメントコードについてはコチラ↓
テンションコードについてはコチラ↓
セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ ⅣM7に進行しない場合は偽終止しています。 偽終止とはドミナントからトニックに行かないコード進行のことです。 Ⅰの5度の上昇クリシェとなっています。 クリシェについてはコチラ↓ |
Ⅶ7 | Ⅲm7に対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ |
Ⅴ7(♭9) | テンションコードです。 テンションコードについてはコチラ↓ |
Bメロ
キーはAメジャーです。
|A|E7
→|Ⅰ|Ⅴ7
(It seems to be~)
|A♭m7 D♭7|A E♭m7-5
→|Ⅶm7 Ⅲ7|Ⅰ #Ⅳm7-5
(That can’t be mended~)
|D♭M7|A♭m7 D♭7
→|ⅣM7|Ⅶm7 Ⅲ7
(What do we do~)
コード | 説明 |
---|---|
Ⅶm7 | リディアンモードからのモーダルインターチェンジコード(借用和音)です。 モーダルインターチェンジコードについてはコチラ↓ |
Ⅲ7 | Ⅵm7に対するセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードについてはコチラ↓ Ⅵm7に進行しない場合は偽終止しています。 偽終止とはドミナントからトニックに行かないコード進行のことです。 |
#Ⅳm7-5 | リディアンモードからのモーダルインターチェンジコード(借用和音)です。 モーダルインターチェンジコードについてはコチラ↓ |
Bメロの最初にG♭メジャーからAメジャー(短三度上)に直接転調をしています。
Bメロの最後にAメジャーからG♭メジャー(短三度下)にピボットコードを使った転調をしています。
キー | A♭m7 | D♭7 |
---|---|---|
Aメジャー | Ⅶm7 | Ⅲ7 |
G♭メジャー | Ⅱm7 | Ⅴ7 |
短三度上と短三度下は転調しやすいです。
転調については以下をご覧ください。
「転調の方法」と「転調パターン一覧」
間奏
コード進行はAメロの1, 2回目と同じです。
以上、ご覧いただきありがとうございました。
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